ポルトガルと言えば、ポートワイン、リスボン、シーフード、サーフィン、そして…アズレージョ!なかなか耳にしない響きですが、ポルトガルではタイルの事をアズレージョといいます。ポルトガルの歴史と文化に深く根ざしている美しいタイルには、数多くの素晴らしいデザインがあります。
古代
アズレージョの歴史は13世紀に遡り、ムーア人が現在のスペインとポルトガルの領土に移り住み、16世紀から17世紀にかけてポルトガル文化の基盤を築いたとされています。アズレージョという言葉はアラビア語が由来とされ、 「小さな磨かれた石」 という意味です。もともとは、幾何学的な形に切り取られた比較的シンプルな構造で、無彩色の色調をしていました。
ポルトガルのマヌエル国王がセビリアを訪れてアイデアを持ち帰るまで、ポルトガルはこのアートワークを文化に取り入れることはありませんでした。 当時、タイルは、ゴシック建築の内装の壁を覆うために使用されていました。
アンティークのアズレージョは、青と白を基調としたシンプルな色味で装飾されていました。これらの色は、大航海時代 (15~18世紀) の影響を受けており、当時の流行の最先端であったと考えられています。その他に使われた色は黄色 (または金色) と緑色でした。
マヌエル国王によってアズレージョが国内に広く普及し、シンプルな幾何学的形状よりも華やかな装飾が施されるように変化していきました。 ポルトガル人が自国の歴史や宗教、文化などを、アズレージョの模様を通して表現し語り継ぐことは、伝統となり現代にも継承され、世界に知られるアート作品のひとつになりました。
ポルトガルの教会や大聖堂を訪れる際には、外壁と同様に、内壁にも目を向けてみることをおすすめします。その多くは布ではなくアズレージョで装飾されており、16世紀頃のタイルデザインを見ることができます。鳥や葉のモチーフは頻繁に使用されおり、アジアの織物からヒントを得たとされています。
1755年の大地震で首都 リスボンの大部分が破壊され、マヌエル建築 (ポルトガル – ゴシック様式) からポンバル様式に移行されたことによりアズレージョの使用にも影響を及ぼしました。
近代
ここ数世紀の間にアズレージョの利用が爆発的に増加しました。現代では、教会、修道院、レストラン、バー、鉄道や地下鉄の駅、宮殿、そして一般家庭のインテリアの一部としても使用されているのを目にするようになりました。
今では、アズレージョはポルトガルを象徴するもののひとつとなり、どんなに小さな村でも国内のいたるところで見ることができます。公共建築物や民家のほか、道路標識、公共ベンチの装飾、海岸の壁沿いなどにも様々なデザインが使用されています。
アズレージョアートで有名な場所としては、ポルトのサン・ベント駅、ブサコ宮殿、リスボン地下鉄の駅などがあります。