この地方に位置する農村地帯には、古い集落と城塞が点在し、その多くは花崗岩の巨岩にまみれた険しい山岳の断 崖に囲まれている。地理的には、東側をスペインとの国境地帯が占める。
ヴィーニョ・レジョナル・デ・テラス・ダ・ベイラは、北は中世の街、フィゲイラ・デ・カステロ・ロドリゴから、南はカステ ロ・ブランコまで、東はスペイン国境に接する荒野の崖地から、西はエストレーラ山脈の連峰まで広がっている。当 地方は、DOCベイラ・インテリオールの三つの地区を含む。そのうちふたつのエリアは、北部の急こう配な地域、ピニ ェル市とカステロ・ロドリゴ村の周囲に位置し、南のより穏やかなコヴァ・ダ・ベイラ副地方と同じく、山岳の傾斜地の ブドウ園に比べてより果実が成熟しやすい場所だ。
近年、ベイラ・インテリオールの世界に新しい道路が開かれたとはいえ、依然としてこの地方は、美しくも手つかずの 田舎である。草原から森へと、高い断崖から果樹で縁どられた穏やかな谷へと広がり、羊や山羊が草を食む原野の 斜面と山々が続く地平。農村地帯は花崗岩の巨岩にまみれ、古い集落と花崗岩のブロックで建てられた城塞が点在 している。
エストレーラ山脈は、ポルトガル大陸本土でもっとも高い大山である。その非常に際立った特徴をもつ地形は、山脈 の西側に位置するダォン地方に比べて、より大陸性の気候をベイラ・インテリオール地方およびテラス・ダ・ベイラ地 方にもたらしている。その気候は、暑く乾いた夏と、非常に寒く降雪を伴う冬が特徴だ。
ベイラ・インテリオール地方の山岳のスロープには、標高300メートルから700メートルにかけて、ポルトガルでもっ とも高地のブドウ畑のいくつかが存在する。日中高温であっても、夜間の寒さがブドウの成熟サイクルを遅らせる。 このような標高、花崗岩土壌、夏の太陽のコンビネーションが、フレッシュでフルーティーな個性を備えた、明確でク リアなワインのスタイルを生み出すのだ。
シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョンといった国際品種に一部補完されながらも、ティンタ・ロリス、トウリガ・ ナショナル、トウリガ・フランカといった主要なポルトガル品種が、この地方で発展した。主要な白ブドウ品種は、フォ ンテ・カル。厳しくもフレッシュな酸を帯びたスイートでリッチな白ワインを生み出す、地域限定の宝である。このワイ ンは、若いうちに飲むにも理想的だが、年月とともに熟成してゆく複雑な味わいでもまた名高い。この品種は、ポルト ガルのほかの品種(シリア、アリント)と、または、シャルドネやリースリングを含む国際品種とブレンドすることもで きる。また、テラス・ダ・ベイラ地方には、ハイクオリティーなスパークリングワインやロゼのセレクションも存在する。
DOCでもっとも一般的な白ブドウ品種: シリア、フォンテ・カル、マルヴァジア、フェルナォン・ピレス。
DOCでもっとも一般的な黒ブドウ品種: トウリガ・ナショナル、アルフロシェイロ、トリンカデイラ、トウリガ・フラン カ、ルフェッテ、バスタルド、マルーフォ、ティンタ・ロリス(アラゴネス)。