DOCマデイラ DOCマデイレンセ

ポルトガル領のマデイラ島は、大西洋に広がり、ポルトサント島や無人島、野生の島々とともに諸島を成している。マデ イラ島の総面積は732平方キロ、そのうちブドウ生産エリアは約500ヘクタールである。

美しい観光名所として世界中に知られる島だが、その知名度は、世界中のより広範な地域で名声と評判を獲得してきた そのワインに負うところも大きい。島の名をもつワイン、そしてワインの名をもつ島。

有名なDOPマデイラ(マデイラワイン)の生産に加えて、近年生産に力を入れている高品質なスティルワインについて も、ふたつの呼称を有している。DOC“マデイレンセ”および、IGP“テラス・マデイレンセス”である。DOPマデイレンセとIGP テラス・マデイレンセスの生産エリアは、マデイラ島とポルトサント島を包含している。

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マデイラ島の斜面に、五世紀をかけて描かれたブドウ栽培地のユニークな景観は、“ポイオス”と呼ばれるテラス式畑に 特徴づけられる。そのブドウ畑からは、高いクオリティーのブドウが生み出され、卓抜したワインの原料となっている。

火山を起源とする特殊な土壌環境はその大半が玄武岩質であり、海に近い地理条件は、暑く湿った夏と穏やかな冬とい った気候に結びつく。それらが、唯一無二の個性をもつワインをもたらすのだ。

マデイラワインは、酒精17~22度を有するリキュールワインであり、セルシアル、ヴェルデーリョ、ボアル、マルヴァジア、 そしてティンタ・ネグラといった非常に伝統的なブドウ品種、あるいはそれらのブレンドによって生み出される。

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ワインの糖度により、ドライ、ミディアムドライ、ミディアムスイート、スイートにタイプ分けされ、セルシアルの場合は常に ドライタイプのマデイラワイン、ヴェルデーリョならミディアムドライ、ボアルはミディアムスイート、マルヴァジアではス イートとなる。異なる品種のブレンドの場合は、異なる糖度のマデイラワインを造り出すことができる。

マデイラワインの生産プロセスは、マデイラをして世界でほかに類を見ないワインたらしめる、ユニークで特殊な特徴 を有している。このリキュールワインは、酒精強化の後、熟成プロセスに入り、熱と緩やかな酸化によって、濃厚で複雑な 独自のアロマを発展させてゆくのだ。伝統的に、マデイラワインはふたつの生産/熟成プロセスによって造られる。カン テイロ、および、エストゥファージェンである。

カンテイロでは、ワインは様々なサイズの木樽に貯蔵される。より若いワインは、より温度の高い倉庫の上のフロアに、 もっとも涼しい地下セラーには、より熟成の進んだ古いワインが並ぶのだ。

エストゥファージェンでは、ワインを法的に定められた一定の期間、50℃まで加熱することによって熟成を促進させる。 そのことにより、かつてこのワインが周遊ワインと呼ばれた時代、インドやブラジル、北米へと航海し、幾度も赤道を越え ては自然に加熱され、今日のマデイラワインを特徴づける卓越した官能的個性を身に着けていたときと同じ環境を再 現するのである。

カラメル、カレー、ナッツ、干しイチジク、シナモンなどのリッチなブーケとハーモニーに映し出されるアロマの複雑性と、 その味わいの特性により、マデイラワインは一日の昼夜を問わず楽しむことができるお酒である。

その名をもたらした島と同じくらい古い歴史をもつマデイラワインは、100年以上熟成可能とされるが、その寿命の長さ はボトリング後も変わることなく、固有の個性を宿し続けることが確認されている。