ワインのはじまり

結論からいうと、最も歴史が古いのはヨーロッパではありません。

ワイン造りが始まったのは、新石器時代ともいわれています。ジョージア(グルジア)、アルメニア、アゼルバイジャンなどの中東の諸国で野生のブドウの木が育っており、集めていたベリーがしばらく経って発酵を始めたことからアルコールの製造が始まったとも言われています。しかし、現代の考古学ではまだ不明な点も多いのが事実です。

今までに見つかっている最古の醸造地はジョージアで紀元前6000年頃、最古のワイナリーはアルメニアで紀元前4100年頃です。

中東からヨーロッパへ

では、中東から西洋へはどのように広まっていったのでしょうか。

現在のレバノン領域で生活していたフェニキア人が大きな役割を果たし、中東(古代オリエント)で生まれた文明を地中海全域に伝えたと言われています。フィニキア人は優れた商人で、ワインも例外ではなく彼らによって古代ギリシャに伝えられ、さらにはローマへ、そこからヨーロッパにワインが広まり始めます。ポルトガルでも紀元前2000年頃からワイン造りが始まっていたようです。

中世ヨーロッパでのワインとキリスト教

中世ヨーロッパ時代には、僧院によってワイン醸造が行われていました。「パンはわが肉、ワインはわが血」とイエス・キリストが表現したことにより、宗教的な意味においてもワインは重要な役割を果たすようになり、僧院はワイン醸造に力を入れることとなります。当初は儀礼としてのみ飲まれていたのですが、中世後期には日常の飲み物として飲まれるようになりました。

その後のワインとコルク製造

その後、17世紀頃から製造の技術が向上し、現在のような瓶詰やコルク栓のスタイルが主流となりました。現代私たちが口にしているワインのスタイルは、この時代のヨーロッパから来ていると思っていいでしょう。そしてワインは、ヨーロッパからニューワールド(アメリカやオセアニア)へ伝えられていきます。ちなみにコルクの製造はポルトガルが大変有名で、生産量は世界第一位、世界全体の5割を占め、ポルトガル国内の森林面積の約25%がコルク樫です。

おわりに

現代においてはあまり中東ではワイン造りが盛んでないため、ヨーロッパがワイン発祥?と思われがちですが、実はそうではなかったのですね。中東はイスラム教徒が多い=禁酒、そしてヨーロッパはキリスト教徒が多い、更には気候的にもヨーロッパの方がワイン造りに適していることからでしょうか、残念ながら現代において中東の存在感は薄く、ヨーロッパが伝統的なワインの代名詞と変わっていったわけです。